ほしからきたもの。

 笹本祐一:ハルキ文庫ヌーヴェルSFシリーズ
 ①②読了。凄ぇ凄ぇ凄ぇ超凄ぇ。さっすが笹本祐一。なんていうか、もう。どうしようもないほどラノベなのだけれども、どうしようもないほど熱い。燃える。
 一言で言えば、『宇宙からの侵略を受けつつある、架空の1960年代を舞台にした宇宙戦記小説』という感じなのだけれども。
 まだ悲壮感は無いが、状況は人類に圧倒的に不利。細かい説明は避けるけど、技術力が(宇宙人? と人類の間で)どうしようもないほど離れてる。ARIELでの人類と宇宙人とくらい? 下手すればそれ以上。時代が時代な事もあって、コンピュータの支援なんか当然無く(2巻終了時にやっとケネディ大統領が有人月飛行計画の演説してる時代だ、まだ人類は月にも行ってない)、何をするにもひたすらマンパワー。指揮所(管制室)のシステムがコンピュータに計算させた結果をスクリーンに投影するのではなく、各オブジェクトをチップなどを利用して手動配置しそれを拡大投影してたりする。
 だから、もう。人々が熱すぎる。頼れるのは己の腕と仲間のみ。自分だけじゃ何も出来ない、コンピュータが助けてくれる事なんて無いから、仲間を信頼してそれに賭けるしかない。もう、これで燃えれないはずが無いだろ?
 それに笹本祐一の文章力と集めた資料による緻密な表現が加わればもう言う事は無い。ライトノベルらしいご都合主義もしっかりしたリアリティさえ出せればもう文句なんかでない。それでもまぁ、あえて難点を上げるとすれば……やっぱ主人公のパイロットが少女ばっかりって事か(苦笑 性格でちと好き嫌い分かれるかもしれない。
 とりあえず個人的には大満足。笹本祐一好きな人なら、チェックしてるとは思うけどものすごい勢いでお勧め。良いから読め、って感じ。ハルキ文庫なんで、手に入りにくいかもしれんが(苦笑
 最後に気に入ったやり取りを引用。2巻P159より。迎撃ミッションの直前、最終確認中の会話です。



「RCS、動作確認。……私が任務達成出来る確率は、どれくらいあると思う?」
「三十パーセント」
「行っとくけど、ベルちゃんの確率も同じようなものよ。おりてくる敵機がいつもと同じ三機編隊なら、X−レイ6一機じゃどうやったって全機撃墜なんか出来ないもの」
「……よかったら、その確率の計算の仕方、教えてくれる?」
「発射予定高度までにX−15がおかしくなる確率が五パーセント、母機側が故障する確率が一パーセント、空中発射時にエンジン始動できない可能性が一〇パーセント、エンジン動いた後にX−レイに不具合が出る確率が同じく一〇パーセント。まだ続ける?」
「私がミスする確率は何パーセント?」
「ゼロ」