終わらない物語は読者の願望だが、同時に読者を疲弊させる(http://amanoudume.s41.xrea.com/2006/03/post_178.html)
 via
 REVの日記3/19(http://d.hatena.ne.jp/REV/20060319#p2)



富士見に限った事ではありませんが、ライトノベルで一番問題なのは、物語がなかなか終わらないことです。人気が無くて3巻ぐらいで続きが出なくなるか、人気があって10巻を超えても全然終わらないか。人気のある作品はなるべく引っ張りたいのはわかるんですが、そのためにいつまでも付いてきてくれる読者しか残らなくなって、読者層が限られてしまうのは問題です。いつまでも終わらない物語はある意味で読者の願望ですが、同時に読者を疲弊させます。
 ライトノベルどころかジャンプでも問題。雑誌の都合で引き延ばして引き延ばして最終的に打ちきりとか本気でかわいそう。何とは言わないけど。シャー○ンキ○グとか(ぉ
 それはともかく。
 読み手としては必要なエピソードをしっかり配置して、引き延ばすことなく、少し物足りないくらいの場所でしっかりと終わらせてくれるのが理想、なんだけど。読み手の理想と出版社の理想ってのは、出版社が営利企業である以上、究極的には重ならないんですよねぇ。
  ・読み手(消費者)の目的:面白い本を読む
  ・出版社(生産者)の目的:本を売って利益を上げる
 なわけで。(作家の目的は簡単のために考えない。同人誌という方法以外では作家の書いた文章を一般に流通させられない以上、出版社のみを考えれば事足りるはず)
 どんな傑作を出版しても、ネットの評価はともかく売り上げが全然伴わない、なんてことは非常に良くあるわけで(非常に個人的な例:猫の地球儀)。単発、あるいは全2〜4巻の傑作よりも、マンネリしながらも未だに続いている人気作の方が売り上げが多い、というのでは引き延ばしに走るのもやむを得ないかなぁ、という感じです。なにしろそういう作品が、売れてない(利益の出ていない、それどころか赤字)の作品の分まで利益を出しているおかげで売れない(利益が見込めない)本が出せている、と言う現実もありますし。
 で。
 この手の引き延ばし、実はライトノベルという場に限っては意外と有効に作用しているような気もします。
 指摘されているとおり、引っ張れば引っ張るほど付いてきてくれる読者は減り、読者層は限られる(そして人気が無くなり売れなくなる)はずなのですが。
 ここで、ライトノベル読者として通常想定される層を考えます。そうですね、中高生としましょうか。最近は変化してきているのかもしれませんが、まぁアンケート葉書とかのソースがないんで、ご勘弁を。
 で、中高生。中学高校は6年間しかありません。つまり、6年経つと付いてきてくれる読者は自然と0になると考えられます。大学生になるころにはライトノベルを読まなくなっていたいわゆる"非オタク"の人間というのは多いのではないでしょうか。また、大学生を入れても10年強までしか延びません。社会人になればライトノベルを読む絶対数はさらに減るでしょう。ジャンプなんかは大学生やサラリーマンが読んでくれてますが、ライトノベルはそうなっていない。子供の読む物、と言う社会的認識が強いように感じられます。(私は親に「いい年してそんな子供の読む物なんか読んで」なんぞと言われましたorz)
 つまり、最初からライトノベルを読んでくれる年数がある程度決まっている以上、引き延ばしというのは割と有効な気がします。なにしろ読者が疲弊しようがしまいが、どっちにしろ読者は離れてしまうわけで。それなら新規参入者が既刊を買ってくれるのを期待して、人気作品の長期化を狙う方が営利企業としては適当でしょう。
 つまり、引き延ばしは必然。
 ……なんか嬉しくない結論だなぁ。
 きちんと終わらせた評価の高い作品が売れる=利益が出る
 となれば出版社も読者も嬉しいんですけどね。なかなかそうはなってくれないのが悲しいところ。何か良い解決策はありませんかねぇ。