材料の話とか。

 普段は水彩絵の具を使って雰囲気を出してるんです。たまにクロッキーっぽくしたり、鉛筆使ってみたり、木炭使ってみたりも。シャーペンを使うときもあるんですけど。その時も0.5だったり0.3だったり。
 でも、時々油彩が書きたくなるときがあって。で、実際に使ってみると、普段やりなれてる方法で、つまりは水彩的に書いてしまうんです。本人は、油彩を使って厚塗りっぽくしてるつもりなんですけど。側から見ると、どうも普段と同じように書いてるように見えるみたいです。
 あるいは。もしかすると、モチーフみたいなものがいつも同じなのかもしれません。本人はそれに気付いてないのかもしれません。本人と同じ視点に立たないと、その絵は綺麗に見えないのかもしれません。ちょっと身長が違っちゃうと、全く違うものに見えるのかもしれません。
 ベクトルを3次元的に見ると綺麗に差が見えるのかもしれませんけど、俯瞰して2次元的に見ると、いっつも同じ方向を向いてるのかもしれません。観測者の視点では2次元的にしか捉えられないのかもしれません。物体を最初から3次元で捉えられる人間って、そうは多くないんじゃないかなー、と思います。
 近寄って見て、離れて見て。しゃぶりつくすように絵を眺めるのって意外と大変です。見て欲しい、ってのはあるんですけど、自分だって大変な事を他人にしてもらえるわけもありません。してくれるのは嬉しい事なんですけど。
 書いてる本人にも、最終的にどんな形になるか、はっきりとは分からなかったりします。頭の中の設計図通りに造っていても、出来上がる頃には違う形になってしまう事はよくあります。それが味になったりするんですけど。


 ちらっと眺めて通り過ぎてしまう人も、足を止めて眺めてくれる人も、舐めるように見てくれる人も。色々な人がいますが、それでいいと思うんです。
 ちょっとでも雰囲気を感じてくれれば、それでいいと思うんです。
 足を止めてくれる人たちのために、もっと良い物が書けたらなぁ、とはいつも思うんですが。