読んだ本

『永久駆動パペットショウ』(豊倉真幸:ファミ通文庫)
雰囲気は好みなのですが。端的に言って"上手くない"気がします。
設定もキャラももっとうまく使えるような気がするんですが。なんとなくまとまりが良くない、というか。設定も匂わせる程度、というかちょこっとでてくる程度で本筋に絡んでくるでもなく、かといってメインのバトル描写も巧くない。どうにも中途半端な印象が感じられました。
個人的には、人形――人でなき者、作られし者、木偶――というのは好きなテーマなので、そちらをメインにしてくれると好みだったのですが。まぁ、作者がそういった描写が得意かどうかは別の話なのですが。


塩の街 wish on my precious』(有川浩電撃文庫)
第10回電撃ゲーム小説大賞、大賞受賞作、ということで。なるほど、レベルが高い。
滅び行く地球で静かに過ごす二人、秋庭と真奈。二人の前を、様々な人が通り過ぎる。そして訪れた男。秋庭の知り合い、入江。彼は言う。「世界とか、救ってみたいと思わない?」


前半は滅び行く世界での二人の生活。終わりかけた人々が、生きる人々が現れる。
後半は滅び行く世界での――恋の話。
後半もなかなか良いのですが(やや理想論、というよりは恋愛至上主義に偏ってる気はしますが、不快に感じるほどではないです)、個人的に好きなのは前半。特にScene-1。切ない、と言ってしまっていいものか。
自分は切なさ、哀しさが好きなのですが。でもやっぱりカテゴリ的には恋の話なんだろうな。