秒速5センチメートル、見てきました。
 以下ネタバレ含む上に(俺が、俺の発言が)痛いので、回避を推奨。




 心臓痛い。泣きそう。←見終わった瞬間の正直な感想






 いやもう評価とか俺がそれ以前の問題でした。泣きそうです。スミマセン僕嘘つきました。ちょっとだけ泣きました。もう心臓とか抉られまくりです。気付いたら歯を食いしばっていた自分が居ました。ぐさぐさぐさぐさヤられ過ぎです。良いとか悪いとか面白いとか詰まらないとか、そういう事は一切言える立場にありません。あれだけ削られて突き刺されて切り刻まれて、我を失うほど引き込まれた自分には、評価なんて無理です。というか評価したくねえ。冷静な自分が作品を解体するのなんかみたくねえ。わかっちゃいるけど分からないままにしておきたいんです。


 貴樹は僕だ、などと言うつもりは全くない。


 敢えて、敢えて、敢えて、本当に敢えて言うなら、一番感情移入出来たのは花苗だった。
 困った。僕は恋する乙女か! アイデンティティーの危機ですよ。自分語りは本当に痛いのですよ。しかしこの話を語ろうとする上で自分自身のバックグラウンドを語らないわけにはきっと行かないんですよ。

この作品の話を徹底的にしたい時はまずそれぞれの過去を晒す必要がありそうだ。(@独り言以外の何か 3/19:http://d.hatena.ne.jp/Su-37/20070319)

 突き詰めれば、自分が語るのは自分以外にないわけで。しかもこの"秒速5センチメートル"という話には枝葉がない。語るべき所が少なすぎる。作品として必要であるはずの部分までもを不要とばかりに切り捨ててしまったこの作品を語ろうとするなら、自分はどう感じた、という以外の感想を不要と切り捨てる必要があるのかもしれない。この作品の、目に映る、スクリーンに映し出された全ては比喩ではなかった。ただの現象だった。だから、感じるのは自分の勝手で、そこにはきっと意味なんか無くて、僕の感じている感情は精神的疾患の一種なわけですよああもう!


 (ちょっと……いやかなりの自分語りを削除。痛い上にキモイ。泣きそう)


男の子にとって初恋の人は絶対に忘れられない物の一つだ。女の子は違うのか? 女の子になったことなど、生まれてこの方一度もないから良く分からないけれど、女の子は男の子とは違う方法でそれを処理してしまうような気がする。逃げれも捨てれもせず、一種の呪いのようについて回る男の子のそれとは違って、女の子のそれは胸の中の宝箱の中にそっとしまい込まれてしまうのだ。
 そう言う意味で、きっと女の子の方が強いのだ。それが良いとか悪いとかではない。そういうものだ。


 貴樹の命は終わっているか? 終わってなんかいない。物語は終わってしまうけれど、現実は続いていく。物語の中にも、現実という絶望は存在する。彼が安易に死さえ選ばなければ、彼の世界は続いていくだろう。世界が続いてさえいれば、人は生きていけるのだ。生きていれば、それはとても哀しいことだけれど、人はそれを忘れてしまうのだ。喪ってしまうのだ。それでも人は生きていける。それだから人は生きていける。いつか手にしていた、それが人生の、世界の全てである輝かしい物をなくしてしまっても、生きていけてしまうのだ。


 最後に。
 貴樹が花苗に救われてしまったら、例えそれが傷の舐めあいだという理解が僕にあったとしても、僕は気持ち悪くて死んでしまいそうです。なんとなく、それは赦されないことだと、そう思うのです。