本の感想
1月分後半。
風と暁の娘 パンツァードラグーンオルタ(五代ゆう:メディアファクトリー)
傑作。
XBOXのゲームのノベライズ、というか。生憎とゲームの方は未プレイ、一度だけ他人がプレイしてるのを後ろから見ていた(6面くらいまでだった気がする)だけなのですが。
それでも、ストーリーが"物語"へと昇華しました。設定や背景は、あくまでゲームを楽しむための要素でしかありません(そのほうがゲームとしては正しいのですが。ストーリーを追う部分は多ければ鬱陶しいだけなので)。記号的だった情報が、形作られて"物語"になる瞬間。
そこには確固とした世界がありました。パンツァードラグーンオルタというゲームから、これほど美しい物語が生まれるとは。
ゲームをやった人には超お勧め。ゲームをやってない人にもお勧めではありますが、ビジュアルイメージのためにも一度はやってみて、そして読んで欲しいなぁ、と。ハードカバーなので値段は張りますし、入手も難しいかもしれませんが、興味をもたれた方は是非。
さよなら妖精(米沢穂信:ミステリ・フロンティア)
なるほど、青春小説。てか、恥ずかしながら自分、最初で主題としての謎が提示されていたにも拘らず、最後の最後までそれを忘れていました(ぉ
丁寧に描かれた人間関係、人物造形。流れる優しくて穏やかで、そして少し残酷な空気に、どうしようもなく引き込まれてしまいます。
これも是非お勧めしたい一冊。
白貌の伝道師(虚淵玄:ニトロプラス)
冬コミケの戦利品。てか前回の書き忘れ(ぉ
『愛、惨敗である(後書きより引用)』って感じ。ヒロインのハーフエルフの少女には一切の救いは無く、ただひたすら絶望して堕ちるのみ。主役のダークエルフはひたすら殺して焼き払って哄笑する。正義も愛も負けて、悪一人勝ち。
ただ、若干インパクトに欠けるかも。自分、ウロブチの中で最も評価が高いのは鬼哭街なのだけれど、あの、『必死で血反吐吐きながら這い上がって行って、そしてどん底に叩き落される時のやばげな快感』が絶対的に足りない。なんていうか、普通。最大の問題は尺なのかなぁ。
導きの星Ⅰ 目覚めの大地(小川一水:ハルキ文庫)
最初はどうも読みにくくてなかなか進まなかったのだが、読んでるうちに慣れてきたのか、中盤からは引き込まれるように読んでしまいました。
物語を俯瞰するような視点が強いので、それに慣れるのに時間がかかったって事かな?
スターシップ・オペレーターズ①(水野良:電撃)
水野良の描くSF風味ライトノベル。
設定がちと無茶ですが、そこさえ問題なければそれなりに楽しめると思います。その無茶な設定のおかげで、宇宙空間での戦艦戦の説得力もそれなりにあります。
スターシップ・オペレーターズ②(水野良:電撃)
2巻。戦艦内外の人間関係に焦点があわせられた回。
結構贅沢にページを使っているので、一つ一つのエピソードにしっかりと焦点をあわせ、急ぎ過ぎずしっかりと描かれています。ただ、人によってはそれが欠点に変わる場合も多いかもしれませんが(苦笑
スターシップ・オペレーターズ③(水野良:電撃)
3巻。コンサートしたり戦闘したりな話。
人間関係と状況の枠を少し広げた感じ。変化とか真実とか。
スターシップ・オペレーターズ④(水野良:電撃)
4巻。とりあえず一段落、な話。
そろそろネタが無くなってきました(汗
イコノクラスト!②(榊一郎:MF文庫J)
果てしなく巨大ロボット。巨大ロボットは漢の浪漫っ!
今回は英雄の話。ごく普通の少年は、果たして英雄という重圧に耐え切れるのか。他人の死を受け止めきれるのか。
吉永さん家のガーゴイル⑥(田口仙年堂:ファミ通文庫)
今回も良い話ですねぇ、なハートフルコメディ第6弾。
この手の話は、『事件発生→ガーゴイルの活躍で事件解決』となると、どうも面白くないのですが。ガーゴイルに頼りすぎることなく、自分たちで努力して、迷いながらも正しい答えを見つけ出せるところが、この話は本当に良い話なんだなぁ、と思います。
愚者のエンドロール(米沢穂信:スニーカー)
えー。氷菓読んでません(汗 売ってないんですorz
青春ミステリ、というか。ちょっと違和感のある話だったんですが、自分がどこに違和感を持ったのかよくわからない……
えーと。これで1月分は40冊かな?
続いて2月分。
ムーンスペル!!(尼野ゆたか:ファンタジア)
第16回ファンタジア大賞佳作。
んー。悪くはないんですが、シーンの切り貼りっぽいなーという印象。まとまった一つの物語ではなく、シーンを並べてみました、というか。連続していないというか。
もう少しまとまりがあった方が良かった気がします。あとは焦点をもう少し絞ってみるとか、テンポを変えて起伏をつけてみるとか、やり方は色々あると思いますが。
トウヤのホムラ(小泉八束:ファンタジア)
第16回ファンタジア大賞準入選。
詠ませる文章を書くなぁ、と思います。文章の崩し方も含めて、巧いなぁ、と。雰囲気の作り方とかは、もう少し課題がありそうですが。
全体に良く出来ていたと思います。
SAKURA-ment(和井契:ファンタジア)
ファンタジア大賞最終選考作。
なんというか、エロゲのシナリオかと思いました(ぉ
雰囲気は良いですし、何を書きたかったのかもわかりやすい。読んでいてストレスを感じる事も無く、割と良かったと思います。ちょっと描写があっさりしすぎていたような印象も受けましたが。
どこかで見たような話に終始してしまった点は減点対象。完全オリジナルな話なんて存在しませんが、オリジナリティを感じさせる話は作れるはずです。
渚のロブスター少女(あきさかあさひ:ファミ通文庫)
第6回えんため大賞優秀賞。
ロブスター型スーツとか、正義の味方とか、旧型のスクール水着とかの話(ぉ
ほのぼのコメディというか。背表紙の紹介文には『ひと夏の少女の成長物語』とか書かれてましたが。路線としてはガーゴイルに近いのかな?
この手のジャンルの作品を受賞させてくる辺り、ファミ通の選考には好感が持てます。割とお勧め。
カエルと殿下と森の魔女(橘柑子:ファミ通文庫)
第6回えんため大賞優秀賞。
コミカルファンタジー(背表紙紹介文より)、なるほど、そんな感じ。
キャラクタは生き生きと描かれていていいと思います。最後の方、ちょっと急展開というか、主役であるはずのリュンの与り知らぬ所であっさりと終わってしまったのが、ちょっと残念ですね。啖呵の一つでも切って欲しかったところです。
バッドボーイ×バッドガール(卯月勇太:ファミ通文庫)
第6回えんため大賞特別賞。
好きなものを好き勝手書いてみました、って感じ。好みもあるのでしょうが、正直微妙でした。
ギリギリ完全な自慰で終わってはいないと思いますが。今後もこの路線でいくなら、もう少し読者を楽しませないと厳しいかと。ちときつい言い方かもしれませんが、これ読むくらいならブラックラグーン読んでた方が全然面白いです。
読者を楽しませて、引き付けないと。例えば無茶苦茶なキャラを出してみるとか。安易かもしれませんが、うまくやればキャラクタの行動だけで読者を引き付ける事が出来ます。たるみがちな場面にアクセントを与えられると、それだけでもだいぶ違うはずです。
途中だが今日はこの辺までで。流石に眠いです。
後10冊以上残ってますが。2月はテストがあったのでそれほど読めませんでしたが、なんだかんだでそれなりに読んでいるのかも。