獣の奏者で最も納得がいかない箇所を無理矢理気味に言語化してみる。
 一応隔離。
 
 要は母親のやってしまったことを繰り返してしまっているのが納得いかん。
 母親の死というのが物語の駆動力、"回復されるべき喪失"として働いているわけだけれど、最終的な結果が母親=エリンの死ではそれ回復になっとらんだろ、と。自らの命と引き替えに何かを守る、ってのはまぁ格好良いけど、それを物語の結末に持ってくるのは何か違う。一人の人間の命で守られた物なんかに価値はないんだよ。そんなものあっさりと失われてしまう。それは世界の全員の意志によって守られるべきであって、ただ一人の犠牲に落とし込むなんて間違っている。
 しかも守られる物がさらに納得いかない。守られるべきは"定められたルール"ではないだろ。「共生は上手く生きません、昔の人の決めたルールは正しかった」っておい! そうじゃない、そうじゃないだろ。守られるべきは"新しいルール"のはずだろ。子供は何のために居るんだ。新しい可能性の為じゃないのか? まだ見ぬ"共生の為の新しいルール"じゃないのか?
 ……うん、まぁ物語としてのリアリティ考えるとこうなるしかなかったのかもしれないけどさ。どうも俺の物語に対するスタンスは少年漫画的すぎる。