本の感想

 水月〜迷心〜 この世界に降りそそぐ光と(蕪木統文:ファミ通
 雪さん、愛してます。……じゃなくて。
 二次創作、と言っていた知り合いがいたが、まさにそんな感じの印象。パーツを足し、視点を変え、角度を変え、新たな事実すらも追加して、物語を"解釈"する。右手が開かない、というのも面白い。何かの隠喩のようでもあり、単に弓を握らない理由を補強するためのようであり。もしかすると、雪さんに"あーん"がして欲しかっただけかもしれないけどね(笑 キャラクタも少しずれている。まぁ、状況・環境が変わればあるだろう、的な変化かもしれない。その辺もまぁ、二次創作的。
 最初とラストのシーンには意味はあるのか。いまいち必然性は読み取れなかったけど。やりたいことをやっただけかもしれないし、こっちに思い入れが強すぎるだけかもしれない。雪さんが絡むと、冷静に判断しようとしないものでぉ


 ロクメンダイス、(中村九朗:富士見ミステリー)
 わけがわからなすぎて凄い(苦笑
 黒白キューピッドよりもさらにワケがわからない(ぉ まぁ、2冊、違う本を読めばそれなりに思いつくことはあるわけで。黒白キューピッドの時は主人公二人の言動も行動も思考もエキセントリックすぎて全く付いていけない、という感じだったので、読み難さ解りにくさは、説明せず内容を理解し難い文体と二人のエキセントリックさに依存していたのだと思っていたのですが。ロクメンダイス、を読んで思ったのは、主人公の思考の流れが追えない、ということ。主人公は読者が感情移入可能な人間として描かれているようでいて、その実2〜3割の場所でその思考に全く付いていけない。例えば、湯上を疑う所は全く理由がわからなかった、いや、思考の飛躍があったように感じられ、付いていけなかった。判断が難しいのだけれど、そういう主人公として描こうとしたのだろうか、とか。作者の意図が気になる。……いや、好意的に捕らえすぎですかね? まぁ良いや。
 しかし何だろうね。文章が下手、と切り捨ててしまうには微妙にもったいない感じ。とりあえず、内容が分かりにくいのはミステリとしては致命的だと思うが如何。


 蟲と眼球とテディベア(日日日MF文庫J
 あんまり関係ないことを書きます。いつもの事ですが。
 後書きに『コメディの舞台と設定でシリアスを……云々』ということが書いてあったのですが、あんまり違和感がありませんでした、自分には。で、ふと理由を考えてみると。
 なんだ、今のライトノベル(に限らないか? マンガも?)はだいたい似たようなことをやっているのですよ。コメディ用としか思えないようなキャラクタでバトルをやるのなんて珍しい事でもないし。日帰りクエストとか、舞台も設定も完全にコメディだし……って、あれはシリアス要素が入っているだけで徹頭徹尾コメディだったか? まあいいや。つか、コメディ要素と娯楽(特に若年層向け)は結構切っても切れない関係じゃないかなと思いますし。
 話自体は普通に面白かった、という感じ(ぉ ただやはり、このレベルの話を量産できるなら、職業的ライトノベル作家としては一流ですね。小説家ってのはどうも遅筆な人が多いので、筆の早い人は貴重です(苦笑


 バトル・オブ・CA(①〜④)(佐々原史緒ファミ通
 この規模の小ささがいいですね。やたらめったら大風呂敷を広げるのも、それはそれで好きなのですが。ただ、等身大ってのは良い物です。職業を得ている社会人達の話なので世界がやたら狭いってことは無いですし、ちゃんとプロ意識があるので見ていて心地よい。ちゃんと地に足が付いている、って感じがします。
 割と好みの一作でした。


 海の底(有川浩メディアワークス
 一言で言うと。難易度NormalでThe地球防衛軍、ただし装備は最弱のアサルトライフル以下、みたいな(違います
 面白い。なんかもー、感想とか不要な気もします。最初は設定的にどうなのかな、とも思ったのですが、100Pも読む頃には完全な杞憂だったと理解しましたし。
 とりあえず、人々のプロ意識はいいです。本当に、出てくる大人たちが格好いい話です。